南阿蘇村は草原と田園風景が自慢の水の生まれる郷です。
これら景観と地下水は、先人が千年以上農業を営むことで守られてきました。
阿蘇では「草原が地下水を育む」
一般的には「森が水を育む」と言われていますが、阿蘇は例外で「草原が地下水を育む」事が分かってきました。
阿蘇の草原や水田には、全国年間平均雨量の約2倍を超える約3000ミリもの雨が降り注ぎます。そして、火山性土壌に水を染み込ませ、20~30年かけて地下をとおり、湧水地等から九州内の6つの主要河川に流れていき、河川流域に生活する人々の暮らしを支えています。
炭素固定化
阿蘇の草原はその地下に炭素を蓄積し続けており、1年あたり6.9t/haといわれる草原の炭素固定機能があります。南阿蘇村の野焼きを行っている草原900ha(R3年)で換算すると、約2,300世帯が1年間に排出するCO2に匹敵する炭素を固定している計算となります。そこで本村の4,676世帯(R4年3月末現在)の約半数が1年間に排出するCO2に相当する炭素を草原が固定していることになります。
景観と地下水を守る主な取組み
本村は「南阿蘇村地下水保全基金」を設置して、以下のような取り組みを進めています。
エシカルな農畜産業の創出
村・慶應大学大学院メディアデザイン研究科・熊本県畜産農業協同組合連合会の三者で、「阿蘇の農畜産業と環境保全に関する相互連携協定」を締結し、エシカル消費に対応したくまもとあか牛の生産と草原環境維持をテーマに連携し、阿蘇の草原を活かす「エシカルな農畜産業」の創出を目指します。
冬期湛水による地下水涵養
冬期湛水を4カ月以上(年度内)実施する場合、地下水保全活動として村独自に10aあたり3,000円を補助しています。(写真)
野焼き実施集落への支援
草原を保全するために、農焼を実施している集落への支援金の交付、またバーチャルフェンスなど、農作業省力化の支援を実施していきます。