○南阿蘇村文化財保護条例
平成17年2月13日
条例第92号
目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 村指定有形文化財(第5条―第18条)
第3章 村指定無形文化財(第19条―第24条)
第4章 村指定有形民俗文化財及び村指定無形民俗文化財(第25条―第32条)
第5章 村指定史跡名勝天然記念物(第33条―第38条)
第6章 補則(第39条)
第7章 罰則(第40条―第43条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第98条第2項の規定に基づき、同法及び熊本県文化財保護条例(昭和51年熊本県条例第48号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けた文化財以外の文化財で村の区域内に存するもののうち村にとって重要なものについて、その保存及び活用のために必要な措置を講じ、もって村民の文化的向上に資するとともに、我が国文化の進歩に貢献することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「文化財」とは、法第2条第1項第1号から第4号までに掲げる有形文化財、無形文化財、民俗文化財及び記念物をいう。
(財産権の尊重と公益との調整)
第3条 南阿蘇村教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の施行に当たっては関係者の所有権その他財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。
(文化財保護委員会の設置)
第4条 第1条の目的を達成するため、南阿蘇村文化財保護委員会(以下「保護委員会」という。)を設置する。
2 保護委員会は、5人以内の委員をもって組織する。
3 委員は、村内の文化財につき学識を有する者のうちから教育委員会が委嘱する。
4 委員は、村内に存在する文化財について調査及び発見に努めるとともに、教育委員会に意見を述べ、又は諮問に答えるものとする。
5 委員の任期は、3年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 この条例に定めるもののほか、保護委員会に関し必要な事項は、別に定める。
第2章 村指定有形文化財
(指定)
第5条 教育委員会は、村の区域内に存する有形文化財(法第27条第1項の規定による重要文化財又は県条例第4条第1項の規定による熊本県指定重要文化財に指定されたものを除く。以下同じ。)のうち村にとって重要なものを南阿蘇村指定有形文化財(以下「村指定有形文化財」という。)に指定することができる。
2 前項の規定による指定をするには、教育委員会は、あらかじめ、指定しようとする有形文化財の所有者及び権限に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権限に基づく占有者が判明しない場合は、この限りでない。
3 第1項の規定による指定をするには、教育委員会は、あらかじめ保護委員会に諮問しなければならない。
4 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該有形文化財の所有者及び権限に基づく占有者に通知するものとする。
6 第1項の規定による指定をしたときは、教育委員会は、当該村指定有形文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。
(解除)
第6条 教育委員会は、村指定有形文化財が村指定有形文化財としての価値を失った場合その他特別の理由があるときは、その指定を解除することができる。
3 村指定有形文化財について法第27条第1項の規定による重要文化財又は県条例第4条第1項の規定による熊本県指定重要文化財の指定があったときは、当該村指定有形文化財の指定は、解除されたものとする。
4 前項の場合には、教育委員会は、その旨を告示するとともに、当該村指定有形文化財の所有者及び権限に基づく占有者に通知しなければならない。
(所有者の管理義務及び管理責任者)
第7条 村指定有形文化財の所有者は、この条例並びにこれに基づく教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、村指定有形文化財を管理しなければならない。
2 村指定有形文化財の所有者は、特別の理由があるときは、専ら自己に代わり当該村指定有形文化財の管理の責めに任ずべき者(以下この章において「管理責任者」という。)を選任することができる。
3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、所有者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任した場合も同様とする。
4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。
(所有者の変更)
第8条 村指定有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
2 村指定有形文化財の所有者又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(滅失、き損等)
第9条 村指定有形文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者)は、速やかに、その旨を教育委員会に届け出なければならない。
(所在の変更)
第10条 村指定有形文化財の所在の場所を変更しようとするときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者)は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、教育委員会規則で定める場合には、届出を要せず、又は所在の場所を変更した後、届け出ることをもって足りる。
(管理又は修理の補助)
第11条 村指定有形文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、所有者がその負担に堪えない場合その他特別の理由がある場合には、村は、その経費の一部に充てさせるため、当該所有者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。
2 前項の補助金を交付する場合には、教育委員会は、その補助の条件として管理又は修理に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは、当該管理又は修理について指揮監督することができる。
(管理又は修理に関する勧告)
第12条 村指定有形文化財の管理が適当でないため、当該村指定有形文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られるおそれがあると認めるときは、教育委員会は、所有者又は管理責任者に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。
2 村指定有形文化財がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、教育委員会は、所有者に対し、その修理について必要な勧告をすることができる。
(現状変更の制限)
第13条 村指定有形文化財に関しその現状を変更し、又は保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響が軽微である場合は、この限りでない。
2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。
2 村指定有形文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る修理に関し技術的な指導及び助言をすることができる。
(公開)
第15条 教育委員会は、村指定有形文化財の所有者に対し、6月以内の期間を限って、教育委員会の行う公開の用に供するため当該村指定有形文化財を出品することを勧告することができる。
2 教育委員会は、村指定有形文化財の所有者に対し、3月以内の期間を限って、当該村指定有形文化財の公開を勧告することができる。
4 村は、第1項の規定により出品した所有者に対し、謝礼金を支給することができる。
5 教育委員会は、第1項の規定により村指定有形文化財が出品されたときは、その職員のうちから当該村指定有形文化財の管理の責めに任ずべき者を定めなければならない。
6 教育委員会は、第2項の規定による公開及び当該公開に係る村指定有形文化財の管理に関し必要な指示をするとともに、必要があると認めるときは、当該管理について指揮監督することができる。
(報告)
第17条 教育委員会は、必要があると認めるときは、村指定有形文化財の所有者又は管理責任者に対し、当該村指定有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。
(所有者変更に伴う権利義務の承継)
第18条 村指定有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、当該村指定有形文化財に関し、この条例に基づいてする教育委員会の勧告、指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。
2 前項の場合には、旧所有者は、当該村指定有形文化財の引渡しと同時にその指定書を新所有者に引き渡さなければならない。
第3章 村指定無形文化財
(指定)
第19条 教育委員会は、村の区域内に存する無形文化財(法第56条の3第1項の規定により指定された重要無形文化財又は県条例第20条第1項の規定により指定された熊本県指定重要無形文化財に指定されたものを除く。)のうち村にとって重要なものを南阿蘇村指定無形文化財(以下「村指定無形文化財」という。)に指定することができる。
2 教育委員会は、前項の規定による指定をするに当たっては、当該村指定無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
5 教育委員会は、第2項の規定による認定をしたときは、当該指定無形文化財の保持者又は保持団体の代表者に認定書を交付しなければならない。
6 教育委員会は、第1項の規定による指定をした後においても、当該村指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。
(解除)
第20条 教育委員会は、村指定無形文化財が村指定無形文化財としての価値を失った場合その他特別の理由があるときは、その指定を解除することができる。
2 教育委員会は、保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められる場合その他特別の理由があるときは、その認定を解除することができる。
5 村指定無形文化財について法第56条の3第1項の規定による重要無形文化財又は県条例第20条第1項の規定による熊本県指定重要無形文化財の指定があったときは、当該村指定無形文化財の指定は、解除されたものとする。
6 前項の場合には、教育委員会は、その旨を告示するとともに、当該村指定無形文化財の保持者として認定されていたもの又は保持団体として認定されていた団体の代表者に通知しなければならない。
7 保持者が死亡したとき、又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下この条及び次条において同じ。)は、当該保持者又は保持団体の認定は、解除されたものとし、保持者のすべてが死亡したとき、又は保持団体のすべてが解散したときは、村指定無形文化財の指定は、解除されたものとする。この場合において、教育委員会は、その旨を告示しなければならない。
(保持者の氏名変更等)
第21条 保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したとき、その他教育委員会規則で定める理由があるときは、保持者又はその相続人は、速やかに、その旨を教育委員会に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(保持団体が解散した場合にあっては、代表者であった者)について同様とする。
(保存)
第22条 教育委員会は、村指定無形文化財の保存のため必要があると認めるときは、村指定無形文化財について自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を執ることができるものとし、村は、保持者又は保持団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(公開)
第23条 教育委員会は、村指定無形文化財の保持者又は保持団体に対して村指定無形文化財の公開を、村指定無形文化財の記録の所有者に対してその記録の公開を勧告することができる。
3 村は、第1項の規定による村指定無形文化財の記録の公開に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(保存に関する助言又は勧告)
第24条 教育委員会は、村指定無形文化財の保持者又は保持団体その他保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のために必要な助言又は勧告をすることができる。
第4章 村指定有形民俗文化財及び村指定無形民俗文化財
(指定)
第25条 教育委員会は、村の区域内に存する有形の民俗文化財(法第56条の10第1項の規定による重要有形民俗文化財又は県条例第27条第1項の規定による熊本県指定重要民俗文化財に指定されたものを除く。)のうち村にとって重要なものを南阿蘇村指定有形民俗文化財(以下「村指定有形民俗文化財」という。)に、無形の民俗文化財(法第56条の10第1項の規定による重要無形民俗文化財又は県条例第27条第1項の規定による熊本県指定重要無形民俗文化財に指定されたものを除く。)のうち村にとって重要なものを南阿蘇村指定無形民俗文化財(以下「村指定無形民俗文化財」という。)に指定することができる。
4 第1項の規定による村指定無形民俗文化財の指定は、その旨を告示して行う。
(解除)
第26条 教育委員会は、村指定有形民俗文化財又は村指定無形民俗文化財が村指定有形民俗文化財又は村指定無形民俗文化財としての価値を失った場合その他特別の理由があるときは、教育委員会はその指定を解除することができる。
4 第1項の規定による村指定無形民俗文化財の指定の解除は、その旨を告示して行う。
5 村指定有形民俗文化財又は村指定無形民俗文化財について、法第56条の10第1項の規定による重要有形民俗文化財若しくは重要無形民俗文化財又は県条例第27条第1項の規定による熊本県指定重要民俗文化財若しくは熊本県重要無形民俗文化財の指定があったときは、当該村指定有形民俗文化財又は村指定無形民俗文化財の指定は、解除されたものとする。
7 第5項の場合の村指定無形民俗文化財の指定の解除について、教育委員会は、告示しなければならない。
(村指定有形民俗文化財の保護)
第28条 村指定有形民俗文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめ、その旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、教育委員会規則で定める場合にあっては、届出を要しないものとする。
2 教育委員会は、村指定有形民俗文化財の保護上必要があると認めるときは、前項の届出に係る現状変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。
(村指定無形民俗文化財の保護)
第29条 教育委員会は、村指定無形民俗文化財の保存のために必要があると認めるときは、当該村指定無形民俗文化財について自ら記録の作成その他その保存のため適当な措置を執ることができるものとし、村は、その保存に当たることを適当と認める者に対しその保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(村指定無形民俗文化財の記録の公開)
第30条 教育委員会は、村指定無形民俗文化財の記録の所有に対し、その記録の公開を勧告することができる。
(村指定無形民俗文化財の保存に関する助言又は勧告)
第31条 教育委員会は、村指定無形民俗文化財の保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
(村指定無形民俗文化財以外の無形民俗文化財の記録の作成等)
第32条 教育委員会は、村指定無形民俗文化財以外の無形民俗文化財のうち特に必要のあるものを選択して、自らその記録を作成し、保存し、又は公開することができるものとし、村は、適当な者に対し、当該無形民俗文化財の公開又はその記録の作成、保存若しくは公開に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
第5章 村指定史跡名勝天然記念物
(指定)
第33条 教育委員会は、村の区域内に存する記念物(法第69条第1項の規定による史跡、名勝若しくは天然記念物又は県条例第35条第1項の規定による熊本県指定史跡、熊本県指定名勝若しくは熊本県指定天然記念物に指定されたものを除く。)のうち村にとって重要なものを南阿蘇村指定史跡、南阿蘇村指定名勝又は南阿蘇村指定天然記念物(以下「村指定史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
(解除)
第34条 教育委員会は、村指定史跡名勝天然記念物が村指定史跡名勝天然記念物としての価値を失った場合その他特殊の理由があるときは、その指定を解除することができる。
2 村指定史跡名勝天然記念物について、法第69条第1項の規定による史跡、名勝若しくは天然記念物又は県条例第35条第1項の規定による熊本県指定史跡、熊本県指定名勝若しくは熊本県指定天然記念物の指定があったときは、当該村指定史跡名勝天然記念物の指定は、解除されたものとする。
(標識の設置)
第35条 村指定史跡名勝天然記念物の所有者は、教育委員会規則の定める基準により、村指定史跡名勝天然記念物の管理に必要な標識、説明板、境界標、囲さくその他の施設を設置するものとする。
(現状変更等の制限)
第37条 村指定史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。
2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。
第6章 補則
(委任)
第39条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会が別に定める。
第7章 罰則
(刑罰)
第40条 村指定有形文化財を損壊し、き損し、又は隠匿した者は、3万円以下の罰金又は科料に処する。
第41条 村指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をして、これを滅失し、き損し、又は衰亡するに至らしめた者は、3万円以下の罰金又は科料に処する。
第43条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従事者がその法人又は人の業務又は財産の管理に関して、前3条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年2月13日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)の前日までに、合併前の白水村文化財保護条例(平成14年白水村条例第19号)、久木野村文化財保護条例(昭和50年久木野村条例第10号)又は長陽村文化財保護条例(昭和57年長陽村条例第11号)(以下これらを「合併前の条例」という。)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの条例の相当規定によりなされたものとみなす。
3 施行日の前日までにした行為に対する罰則の適用については、なお合併前の条例の例による。
附則(令和3年12月10日条例第38号)
この条例は、令和4年4月1日から施行する。