熊本地震における南阿蘇村の被害状況
平成28(2016)年4月、2度の震度7という未曽有の大地震が熊本県を襲い、南阿蘇村でも甚大な被害が発生しました。
前震の被害は小さかったものの、本震では地表地震断層が出現し、村が引き裂かれ、突き上げるような強い揺れで、数多くの家屋が倒壊しました。同時に、村のあちこちの斜面は崩落し、土砂災害による甚大な被害が発生しました。この土砂災害の多くは阿蘇カルデラの火山に由来する地形・地質的な特徴が要因とされています。火山とともに生きる私たちへの大切な教訓となりました。
震災被害の大きさを伝える場所
南阿蘇村には当時の被害の様子を残している場所が今でも多数残っています。
ニュースなどで連日大きく報道された阿蘇大橋の崩落や、多くの学生が被災した旧東海大学の阿蘇キャンパスなどをはじめ、高野台の地すべりや、地震後に表出した立野地区の地表断層、高野台の大規模な地すべりなど、被害の大きさだけでなく熊本地震の特徴を私たちに伝えています。
南阿蘇村に残る熊本地震の記憶~9つの震災遺構~
南阿蘇村では、熊本地震の経験を風化させず、教訓や被害も記憶を後世に伝えていくために、村内に点在する9つの震災遺構を保存・整備し、防災教育(ツアー)や教育(団体)旅行などに取り組んでいます。
※教育旅行や各種プログラムについてのお問い合わせは、(一社)みなみあそ観光局(0967-67-2222)までお願いします。
(1)立野地区犀角山周辺の地表地震断層
⑵黒川地区の地表地震断層
⑶床瀬川橋
⑷崩落した阿蘇大橋の橋げた
⑸阿蘇ファームランド地下通路
⑹阿蘇中央火口丘群の表層崩壊
⑺高野台大規模地すべり
(整備前)
(整備後)
⑻数鹿流崩れ(大規模山腹崩壊)
⑼旧東海大学阿蘇キャンパス
震災前は全国から集まった約1,000名の学生が学ぶ「牧場・農場一体型キャンパス」でした。熊本地震の本震では断層が鉄筋コンクリート造の1号館の真下を通り、広場には全長約50mに及ぶ地表地震断層(右横ずれ断層)が現れました。地震の発生が深夜だったため人的な被害は免れましたが、一部実習施設を除いてキャンパスが移転。現在は建物の被害と断層の関係を観察できる場所として、1号館の一部と地表表層断層が一般公開されています。
※同敷地内に県内に点在する震災遺構等を活用した回廊形式のフィールドミュージアムの中核拠点である、熊本地震震災ミュージアム「KIOKU(体験・展示施設)(外部リンク)」があります。
地域拠点:旧長陽西部小学校(震災伝承館 轍)
熊本地震において、村内でも大きな被害を受けた地域の1つである黒川地区。地震時は、避難所となっていた廃校を活用し、プレオープンおよび改修工事を経て、令和4年度より開館しました。
南阿蘇村全体の被害状況をはじめ、熊本地震前は"学生村"と呼ばれ、東海大学生で賑わっていた黒川地区と東海大学生の繋がり、現在までの復興の様子や過程を辿ることができます。
なお、当施設は事前に申し込みが必要となります。(申し込み時のみ開館)
視察研修等を希望する方は、下記URLよりお申し込み下さい。
https://minamiaso.info/companies_out/wadachi/
また、同施設の調理室を拠点とし、令和元年より活動をしている黒川区の有志団体「すがるの里」が視察団体(10名以上)にお弁当提供も行っています。こちらは2週間前お申し込みが必須となっておりますので、同施設を見学の際、お弁当を希望される団体については、その旨お伝え願います。
交通インフラの復旧
熊本地震では阿蘇大橋、長陽大橋、俵山トンネルといった熊本市と南阿蘇を繋ぐ主要道路をはじめ、JR豊肥本線や南阿蘇鉄道の鉄道路線も寸断されました。
県内での甚大な被害を受けた南阿蘇村ですが、俵山トンネルルートや国道57号線の開通、新阿蘇大橋の開通など、交通インフラは着実に復旧し、令和5年7月15日には、待望の南阿蘇鉄道が全線で運行を再開したほか、中核拠点である熊本地震震災ミュージアムKIOKUもオープンし、村内における交通インフラは全て復旧しました。